30年以上前に手作りした炭窯で、今も
細い山道を車で進んで行くと、ぽつんと現れる炭窯。ここで炭を作っているのは、岡本光男さんです。今年74歳になる岡本さんは、炭を作り始めて30年。もともとは医薬品営業マンなどを経験した後、日高村議員を務めており、炭作りとは無縁の仕事をしていたと言います。
そんな岡本さんが炭作りを始めたのは40歳の頃。飲み仲間だった近所の人から「炭の作り方教えちゃるき、作ってみいや」と言われたのがきっかけでした。とは言え岡本さんがそれまで炭を作った経験は全くなし。まずは炭窯を作るところからのスタートでした。石を積み、山から採取した粘土質の赤土で固め、またさらに石を積んで赤土で固める。この作業を繰り返し、近所の人たちの助けも借りながら1週間かけて完成した岡本さんの炭窯。今もその窯で炭を作り続けています。
趣味で作り近所の人に配っていた炭が、知らない人もわざわざ買いにくるほどの評判に
岡本さんが炭を作り始めた頃、道路に七輪を出し炭で魚を焼いている風景は、日高村民にとってごく当たりだったそうです。そのため自家製の窯で炭を作っている人も、珍しくありませんでした。山を整備するために切った木を、炭にし、ご飯を炊くのにも肉や魚を焼くのにも使う、炭は生活の一部だったと言います。
岡本さんが炭を作り始めた当初は、岡本さん自身が家で使う分と、近所の人たちに配る分だけの炭を作っていました。「売ろうと思って作り始めたわけじゃない。ほとんど趣味みたいなもんよえ」と話す岡本さん。しかし、近所の人に炭を配っているうちに、知らない人も岡本さんのもとに炭を買いに来るようになっていたそうです。
年に1、2回しかしていなかった窯入れを、今では年に10回くらいしなければ足らなくなるほど、岡本さんの炭は口コミで広がっています。
「弟子入りしたい」と人が訪ねてくるほどの職人技
炭は木を酸素が少ない状態で、長時間蒸し焼きにすることによって作ることができます。窯入れから炭が完成するまでは、おおよそ14日ほど。
炭にする木材を窯入れしたら、焚き口に薪をくべて火をつけ窯の中を蒸し焼き状態にします。2〜3日の間、蒸し焼きし続けると煙は白から青、青から透明に変化していきます。煙が透明になったタイミングで、焚き口に石と泥を積み上げ、窯の中に全く空気が入らないよう密閉。そのまま10日間ほど窯の中でじっくりじっくり蒸し焼きにすることで、炭が完成するのです。
炭作りで一番難しいのは、火力の調整と焚き口を塞ぐタイミングを見極めること。岡本さんは煙の量、色、釜の中の温度などを見て調整しています。
「少しでもタイミングがズレてしまうと、スカスカの柔らかい炭になってしまったり、隅々まで炭になりきらなかったりする。それを見極めるのが一番難しい。今まで、何回失敗したかわからんな(笑)」
そうお話しされる岡本さんは、長年の経験で蓄積された感覚と知恵で、炭を作っています。何気ないきっかけで始めた炭作りでしたが、今では「弟子入りしたい」という人が、岡本さんのもとを訪ねてくるほどの腕前です。
炭に使うのは、自ら山から切ってきたカシの木
寄付者さんからは「最高に質が良く2時間以上強い火力が持ちバッチリでした」「作っている方々の誠意・人柄が感じられます」などたくさん喜びの声が届いています。そのことを岡本さんに伝えると「おお、そうかえ〜」とうれしそうに微笑みながら、いい炭を作るためのこだわりを教えてくださいました。
実は岡本さんの炭作りは、山で木を切ってくるところから始まっています。
「木から水分がとんでしまうといい炭にはならん。山から木を切ってきても炭にするまでに時間が経つと乾燥してしまう。だから、ぎゅっと密度の高い炭を作るために木を切ってきたら3日以内に窯入れをする」
どうしても3日以内に窯入れできない時は、なるべく水分が飛ばないように古い毛布などを被せ密閉して、木を保管をしているそうです。
また炭作りにはほとんど“カシの木”を使うのも、岡本さんの譲れないこだわりだと言います。
「今までサクラ、杉、イタブの木など様々な木で炭を作ってきたけれど、どれも納得のいく炭にはならなかった」。
そして岡本さんがたどり着いたのは、固く、密度が高いカシの木でした。炭にする木材にはカシの木を使うことで岡本さんは火力が強く、火持ちする、いい炭を作っています。
日高村でも数少ない炭職人が作る炭。ふるさと納税をきっかけに全国へ
近年は炭職人の高齢化にともない、周りの人はほとんど炭作りをやめてしまったそうです。
それでも山に囲まれた日高村で炭を作り続けている岡本さん。「炭作りはすすで真っ黒になって汚れるし、熱いし、しんどいき、いつやめるかわからんよ(笑)」と笑いながら、今年も炭を作っています。
岡本さんが今も炭作りを続けられているのは、全国に岡本さんの炭を待ってくださっている方がいるから。全国の人に岡本さんの炭が知られるようになったのは、日高村の村長が「炭をふるさと納税の返礼品に出してみんかえ」と声をかけたのがきっかけでした。それまでは卸売も通販もなく、村民を中心に直接買いに来る人だけしか買えなかった岡本さんの炭。ふるさと納税を通して、全国へお届けできるようになりました。
ぜひ岡本さんが作る炭の良さを、一度体感してみてください。
細い山道を車で進んで行くと、ぽつんと現れる炭窯。ここで炭を作っているのは、岡本光男さんです。今年74歳になる岡本さんは、炭を作り始めて30年。もともとは医薬品営業マンなどを経験した後、日高村議員を務めており、炭作りとは無縁の仕事をしていたと言います。
そんな岡本さんが炭作りを始めたのは40歳の頃。飲み仲間だった近所の人から「炭の作り方教えちゃるき、作ってみいや」と言われたのがきっかけでした。とは言え岡本さんがそれまで炭を作った経験は全くなし。まずは炭窯を作るところからのスタートでした。石を積み、山から採取した粘土質の赤土で固め、またさらに石を積んで赤土で固める。この作業を繰り返し、近所の人たちの助けも借りながら1週間かけて完成した岡本さんの炭窯。今もその窯で炭を作り続けています。
趣味で作り近所の人に配っていた炭が、知らない人もわざわざ買いにくるほどの評判に
岡本さんが炭を作り始めた頃、道路に七輪を出し炭で魚を焼いている風景は、日高村民にとってごく当たりだったそうです。そのため自家製の窯で炭を作っている人も、珍しくありませんでした。山を整備するために切った木を、炭にし、ご飯を炊くのにも肉や魚を焼くのにも使う、炭は生活の一部だったと言います。
岡本さんが炭を作り始めた当初は、岡本さん自身が家で使う分と、近所の人たちに配る分だけの炭を作っていました。「売ろうと思って作り始めたわけじゃない。ほとんど趣味みたいなもんよえ」と話す岡本さん。しかし、近所の人に炭を配っているうちに、知らない人も岡本さんのもとに炭を買いに来るようになっていたそうです。
年に1、2回しかしていなかった窯入れを、今では年に10回くらいしなければ足らなくなるほど、岡本さんの炭は口コミで広がっています。
「弟子入りしたい」と人が訪ねてくるほどの職人技
炭は木を酸素が少ない状態で、長時間蒸し焼きにすることによって作ることができます。窯入れから炭が完成するまでは、おおよそ14日ほど。
炭にする木材を窯入れしたら、焚き口に薪をくべて火をつけ窯の中を蒸し焼き状態にします。2〜3日の間、蒸し焼きし続けると煙は白から青、青から透明に変化していきます。煙が透明になったタイミングで、焚き口に石と泥を積み上げ、窯の中に全く空気が入らないよう密閉。そのまま10日間ほど窯の中でじっくりじっくり蒸し焼きにすることで、炭が完成するのです。
炭作りで一番難しいのは、火力の調整と焚き口を塞ぐタイミングを見極めること。岡本さんは煙の量、色、釜の中の温度などを見て調整しています。
「少しでもタイミングがズレてしまうと、スカスカの柔らかい炭になってしまったり、隅々まで炭になりきらなかったりする。それを見極めるのが一番難しい。今まで、何回失敗したかわからんな(笑)」
そうお話しされる岡本さんは、長年の経験で蓄積された感覚と知恵で、炭を作っています。何気ないきっかけで始めた炭作りでしたが、今では「弟子入りしたい」という人が、岡本さんのもとを訪ねてくるほどの腕前です。
炭に使うのは、自ら山から切ってきたカシの木
寄付者さんからは「最高に質が良く2時間以上強い火力が持ちバッチリでした」「作っている方々の誠意・人柄が感じられます」などたくさん喜びの声が届いています。そのことを岡本さんに伝えると「おお、そうかえ〜」とうれしそうに微笑みながら、いい炭を作るためのこだわりを教えてくださいました。
実は岡本さんの炭作りは、山で木を切ってくるところから始まっています。
「木から水分がとんでしまうといい炭にはならん。山から木を切ってきても炭にするまでに時間が経つと乾燥してしまう。だから、ぎゅっと密度の高い炭を作るために木を切ってきたら3日以内に窯入れをする」
どうしても3日以内に窯入れできない時は、なるべく水分が飛ばないように古い毛布などを被せ密閉して、木を保管をしているそうです。
また炭作りにはほとんど“カシの木”を使うのも、岡本さんの譲れないこだわりだと言います。
「今までサクラ、杉、イタブの木など様々な木で炭を作ってきたけれど、どれも納得のいく炭にはならなかった」。
そして岡本さんがたどり着いたのは、固く、密度が高いカシの木でした。炭にする木材にはカシの木を使うことで岡本さんは火力が強く、火持ちする、いい炭を作っています。
日高村でも数少ない炭職人が作る炭。ふるさと納税をきっかけに全国へ
近年は炭職人の高齢化にともない、周りの人はほとんど炭作りをやめてしまったそうです。
それでも山に囲まれた日高村で炭を作り続けている岡本さん。「炭作りはすすで真っ黒になって汚れるし、熱いし、しんどいき、いつやめるかわからんよ(笑)」と笑いながら、今年も炭を作っています。
岡本さんが今も炭作りを続けられているのは、全国に岡本さんの炭を待ってくださっている方がいるから。全国の人に岡本さんの炭が知られるようになったのは、日高村の村長が「炭をふるさと納税の返礼品に出してみんかえ」と声をかけたのがきっかけでした。それまでは卸売も通販もなく、村民を中心に直接買いに来る人だけしか買えなかった岡本さんの炭。ふるさと納税を通して、全国へお届けできるようになりました。
ぜひ岡本さんが作る炭の良さを、一度体感してみてください。
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